北の傷歌

背中丸めて 燗酒あおる
窓に夜汽車の 過ぎる音
店の親父は 無口なままで
旅の男を かばうのか
いくつ線路を 越えたなら
胸の痛みが 遠ざかる
北へ 北へ 北へ流れても
おまえの泣き顔 傷跡うずく

襟を立てても 寒さがしみる
恋のすきまに 忍び込む
詫びる手紙の 言葉に迷い
風に名前を 呼んでみる
駄目な俺など 忘れろよ
無駄な想い出 捨ててくれ
北の 北の 北の街灯り
おまえの面影 傷跡浮かぶ

白い海原 遥かな空よ
なんて小さい 俺だろう
惚れた女に 倖せやれず
なにが男の 夢なのか
春をふたりで もう一度
探し出せるか 今ならば
北へ 北へ 北へ流れつき
おまえが欲しいと 傷跡叫ぶ
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