おー、阿呆船よ、何処へ

夜には 橋を渡って
過去と 話がしたくて
錆びついた 阿呆船の
舫い網解いて 川を下る

穴の空いた デッキシューズに
冷えた夜霧と
暗闇が 忍び込む

次の夏が来る前に
新しい 靴を買おうか
ふらふらと 阿呆水の
泡を背負って 河口に出る

さあ 悲しみが 逆流する時が もうすぐ来る
さあ 喜びと すれ違う間 船を進めて いよう

夜明けに住む 過去は繋ぐ
舫い網で
この船を 阿呆結びに

朝には 橋の真下で
あなたが 恋しくなって
超満員の 阿呆電車
通り往くのを ずっと待ってる

舫い網で この船を
線路に縛って ずっと待ってる
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