見送られる人

俺は世界を旅する男
町から町へ とんだ風来坊さ
あいつも彼も みんな友達さ
気のいいやつさ よろしくな

ああ僕はこのまま 流れ流れて
この町さえ 出て行く
笑って手を振る 君の家に
僕の居場所は あるのかな

土産はないが 話は尽きず
宵越しの酒 ハレの夜明け
赤い実はじけて 空に描く
後ろめたさが また俺を酔わす

ああ僕は 誰の背追々かけて
皆を置き去りに
誰かお願いさ 行かないでと
涙で僕を つかまえておくれ

俺も随分 年をとった
日の出を抱いて 夜を見つめて
あの子も君も 妻で母だ
侘び寂びのある いい人生だった

ああ僕はよくやった 生き生き生きた
訳もなく ただ生きた
泣きながら眠る 墓の上で
笑って手を振って 見送っておくれ
大事な誰かと 見送っておくれ
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