人情取手宿

化粧回しに 男の意地を
かけて夢みて ひと昔
利根の流れは 変わらぬものを
どこで逸れて こうなった
今じゃしがねえ 三度笠

恩も仁義も 建て前本音
使い分けする この渡世
こんな俺でも しんから泣けた
人の情けの 渡し舟
乗せてもらった 取手宿

風にさらした ざんざら真菰
後の始末は 引き受けた
縄の襷に 一本刀
これがせめての 駒形の
一生一度の 土俵入り
×