七つの願いごと

四月になれば何かが変わる
ふと目にとまる路ばたの花
心ひかれてしまうのは
思いもよらない恋が芽生えたから

五月になれば何かが変わる
あなたの白いズックが光る
真っ赤な靴をひきよせる
歩きはじめれば愛という名の径

六月になれば何かが変わる
小雨ふる日に手紙がこんな
待ちどおしいと想うのは
淋しい心が滲んでしまうから

七月になれば何かが変わる
眠れない夜 羊を数え
それでも何故か寝つけない
羊の隣りにあなたが見えるから

八月になれば何かが変わる
白いペンキの避暑地の店で
見つめあう瞳がはずんでる
サイダーびんから気球が飛んでゆく

九月になれば何かが変わる
すれ違ってくふたりの会話
ふみ切り越しのボール投げ
ひとつの嘘から谷間が広がった

十月になれば全てが変わる
青空を見て胸いたむのは
大事なものを失った
心のすき間に青さがしみるから
×