卒業

制服の胸のボタンを 下級生たちにねだられ
頭をかきながら逃げるのね 本当は嬉しいくせして
人気ない午後の教室で 机にイニシャル彫るアナタ
やめて想い出を刻むのは 心だけにしてとつぶやいた

離れても電話するよと 小指差し出して言うけど
守れそうにない約束は しない方がいい ごめんね
セーラーの薄いスカーフで 止まった時間を結びたい
だけど東京で変わってく あなたの未来は縛れない

ああ 卒業式で泣かないと 冷たい人と言われそう
でももっと 哀しい瞬間に 涙はとっておきたいの

席順が変わりあなたの 隣の娘にさえ妬いたわ
いたずらに髪を引っ張られ 怒ってる裏ではしゃいだ
駅までの遠い道のりを はじめて黙って歩いたね
反対のホームに立つ二人 時の電車がいま引き裂いた

ああ 卒業しても友達ね それは嘘ではないけれど
でも過ぎる季節に流されて 逢えないことも知っている
ああ 卒業式で泣かないと 冷たい人と言われそう
でももっと 哀しい瞬間に 涙はとっておきたいの
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