稗つき恋唄

時流(とき)を恨んで 合戦逃(たたかいのが)れ
哀れ鶴富 旅の果て
深山椎葉(みやましいば)の 満天の星
都恋しや 草木の宿に
運命(さだめ)はかない 秘(かく)れ花

庭の山椒(さんしゅう)の木 鳴る鈴掛けてヨーホイ

庭の小枝で 呼ぶ鈴の音に
娘ごころが 罪越えて
忍ぶ三年瀬(みとせ)に 命が燃える
月よ隠して この恋ひとつ
夜毎(よごと)待ちます 通い夫(づま)

想い残して 野菊の別れ
通う情の 花が散る
二度と戻らぬ 大八様の
無事を祈って 踏む舞扇
涙しぐれの 秘(かく)れ里
×