ニホンノカブキ

幕開きの 止柝が劈く
抗いなど 何をも成さない

突き一閃 心を澄ませば
飛び六方 後には退けない

踊れや踊れ 分け目など振らず
見栄を切れ 鏡獅子の如く

桜ひらひらと舞って
水面に煌めく
極彩色の調べ
流れる春夏秋冬
春の生命は儚く
やがて枯れ散りゆく
人生こそ花道
狂えや花鳥風月

一丁柝の 合いの手大向う
和となっては 響けよお囃子

絶景かな 刹那を興せば
満開の儀 これにてお開き
盛れや盛れ 今宵咲き誇れ
散るほどに 眼目の毛振乱せば

花びらを捉えて
そっと吹き飛ばせば
漂う蜜の香り
遊ぶは魅惑の花吹雪
春の生命は儚く
やがて枯れ散りゆく
人生こそ花道
狂えや花鳥風月

幕引きは 漸うと近く
せり上げを 待ち構えて息を呑む袖

大切に 附け打って見せて
宴安に 酔いしれかぶき踊れ

桜ひらひらと舞って
水面に煌めく
極彩色の調べ
流れる春夏秋冬
人の心も移ろい
いつか無に還って行く
散るからこそ美しい
一花咲かせよ春桜
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