嗚呼舟がくし

鎧に残りし 香りやあわれ
舟をかくして 公達は
いづ地の山に 入りたもう
今日も渦巻く青い潮
哀しや平家の 舟がくし
サノヨー サノサ サノヨー サノサヨ

影を屋島は 入江に映す
月が上(のぼ)れば 銀の波
黒髪長き 姫の立つ
扇の的をば 射て見よと
おぼろの夢や 舟がくし
サノヨー サノサ サノヨー サノサヨ

はれて望めば 潮路の彼方
遠い小島は 何故ぬれる
千鳥は君の 笛の音か
今日も雲入る 五剣山
興亡むなし 舟がくし
サノヨー サノサ サノヨー サノサヨ
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