手足

胸の暗がり 小石をホイッと投げたら
胸の暗がりの誰かが あいたったたと叫ぶ
胸の暗がりの小道を つい ふらふらっと入ったら
胸の暗いみずうみまで たどり着いちゃったよ

だからあたしの手足よ 今はここにおいで
あたしから離れないで ひとつに集まろう

胸の暗がりで たまごを
コン ココンと叩いて
涙こらえ 耳すますと まぁだだよと響く
怖いようって うっかりつぶやいたなら
そんな気がしてくる
胸の暗がりで唱える“大丈夫 大丈夫…”

だからあたしの手足よ 今はここにおいで
あたしから離れないで ひとつに集まろう

いつかあたしの手足よ おまたち連れてゆこう
空の雲の上までも あおい丸い果てまでも
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