夏の船

ゆっくりと大地めざめてゆくように動きはじめている夏の船
デッキにはそれぞれの風それぞれの話しかけられたくない時間
今日までに私がついた嘘なんてどうでもいいよというような海
大陸を西へ西へと行く列車 海を見たがる目を閉じている
ひまわりの黄色をいくつかちりばめてシルクロードへ続くこの道
楊貴妃の住まいを見れば吾のために池掘る男一人は欲しい
幼な子の吐息のようなさざ波を浮かべておりぬ真夏の黄河
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