ヒーター

冬の残り香を溶かすような
陽射しが部屋を 日だまりにして
笑顔になった

君と寒い夜に別れて
ふたりあたった ヒーターだけが
部屋に残った

行き場を無くした 想い出だった

いつも気まぐれなとことか
不器用なあたたかさとか
少しルーズなところも君と
似ているからおかしくって
少し切なくなった

特に大きなケンカも無かった
嫌いになんてならなかった
だけど恋はそっと終わった
ありがとうと 言えるよ今は

ひとり 色々と整理して
何かをしまう スペースだけは
余裕ができた

だから 平気だと思ってた
街で偶然 出会って不意に
胸が高鳴る

しまった想いが 溢れてきた

やけに落ち着いてる声とか
忘れっぽいところとか
すぐに変わる話題も全部
変わらなくてそのままで
あの頃に帰った

今も尊敬してるところとか
幸せだった記憶だって
色褪せてもあざやかになる
赤い糸を心に隠して

いつも気まぐれなとことか
不器用なあたたかさとか
少しルーズなところも君と
似ているからおかしくって
少し切なくなった

同じ部屋にもう帰れなくて
言葉が無くても通じ合って
せめて寒がりだけは隠して
新しい季節へと歩こう
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