男宿

わかれにゃならぬ 男はヨ
酒を枕の 役者だぜ
細い女の すすり泣き
背ながわすれちゃ くれぬだろ
この俺を 怨みなよ
そして奴と逃げろ
惚れて惚れて… 二人暮らせ
波止場じゃ渡し船(わたし)の 灯(ひ)がゆれる

三途(さんず)の海で 稼ぐにゃヨ
どうせ女房は よけいだぜ
みえで意地張る 酔いどれに
あいそつかして くれたかい
哀しいぜ せつないぜ
なみだ芝居ひとつ
惚れて惚れて… 奴と生きろ
波止場は出船の 満ち潮だ

小さな荷物 かくすよに
両手あわせる 女影
薄目あけてヨ 見おさめだ
夜の硝子窓(ガラス)の さびしさよ
しあわせに なるんだぜ
俺にゃ酒があるさ
惚れて惚れて… おまえ抱いた
波止場はみぞれか 男宿
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