まぼろしを見た

重い鉄屑は 砂埃に消えた
遠くで響く 汽笛に混ざって飛んだ
ぼくは見たはずだ これは幻なんかじゃない

青空飛ぶ鳥 羨む小鳩がぽつり
大きな眼鏡橋 小さな二つの背中
君は見てるかい そんなとりとめない小さな日々を

夕日を背負った そのピエロは帰っていった
さよならさえ言えずに 誰にも気づかれずに
でも僕は見てたんだ 泣かない君にも涙を

ほんの少しだけ 違えば幸せかな
いつか辿り着くかな こんなに泣いたんだから
バカだろ バカだろ

愚かな娘も昔は無邪気だったのにな
素敵な靴も可愛い笑顔に映えた
君の言う 昔は失われたと言うのかい?

電車に揺られて 終わらない日々を進む
たった一度だけ 風船の虹を見たんだ
もう一度だけでいい その姿見せておくれよ

ほんの少しだけ 君を愛したい
いつか辿り着くさ そんなに泣かなくっても
バカだな バカだな

思い届く頃 砂埃が舞った
遠くで君たちは 汽笛に混ざって消えた
×