第三病棟

僕の病室 君のそろえた
青い水差しと 白いカーテン
子供の声に 目覚めれば 陽射し
坊やが窓越しに 笑顔でおはよう
あの子の部屋は 僕の真向い
お見舞の 苺が見える
やがて注射はいやだと泣き声
いずこも同じと 君が笑う

遊び盛りの 歳頃なのにね
あんなに可愛い 坊やなのにね
カルテ抱えた 君は一寸ふくれて
不公平だわとつぶやいた
紙飛行機のメッセージ
坊やから届いたよ
夏が過ぎれば 元気になるから
そしたら二人で キャッチボールしよう

返事をのせた 飛行機を折って
とばそうと見たら からっぽの部屋
少し遅めの 矢車草が
狭い花壇で 揺れるばかり
受けとる人の 誰もいない
手を離れた 飛行機
君と見送る 梅雨明けの空へ
坊やのもとへと 舞いあがる
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