挽歌の岬

あなたうばうほど
強くなれません
人は誰だって
愛がほしいのよ
恋のかけらを ハンカチに
そっと包んで 投げすてました
ここは函館 立待岬
あゝ 挽歌の岬

海が荒れてます
空も鉛いろ
雪の切り岸に
ひとり待つわたし
春になったら ハマナスよ
ここで真赤に 咲いてゝおくれ
名残(なごり)つきない 立待岬
あゝ 挽歌の岬

蟹とたわむれて
泣いたひともいる
啄木石文(いしぶみ)を
よめばまた涙
あなたさよなら 帰ります
帰りたくない あの東京へ
旅の終りの 立待岬
あゝ 挽歌の岬
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