乗車権

排気ガスを吐いて 腹ぺこのバスが来る
夢の先に連れてってくれんだ どうだろう

強く望む事を 書いた紙があれば
それがそのまま 乗車券として 使えるらしい 使えるらしいんだ

我先に群がり 行列出来上がり
ぎらぎらの目 友達も皆 どうしよう

強く望む事か 適当でもいいか
取り敢えずは 乗車券の替わり

どけ そこどけ 乗り遅れるだろう 人数制限何人だ
嘘だろう これを逃したら いつになる

あぁ ちょっと待ってくれ 俺を先に乗せてくれ
なぁ どうせ 大層な望みでもないだろう

鈍い音で吠えて 食い過ぎたバスが出る
泣き落としで 順番譲る馬鹿がいた

運ばれて数時間 乗り継ぎがあるらしい
次の便は 夜が来たら 出るらしい

あれ ここに無い でも こっちにも無い なんで乗車券が無い
予定外 見付からないまま 日が落ちる

あぁ ちょっと待ってくれ 俺もそれに乗せてくれ
おい そこの空席に 鞄 置いてんじゃねえ

違う これじゃない これでもない 違う
人間証明書が無い 予定外 俺が居ない
やばい 忍び込め

あぁ ちょっと待ってくれ やはりここで降ろしてくれ
なぁ こんな人生は 望んじゃいない 望んでたのは―…

あぁ 見逃してくれ 解らないまま乗ってたんだ
俺一人 降ろす為 止まってくれる筈もねえ

強く望む事が 欲しいと望んだよ
夢の先なんて 見たくもないから
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