吁嗟飯塚部隊長

肉弾続く 肉弾に
武漢は今ぞ 眼(ま)のあたり
星子(せいこ)を指せば 火と燃ゆる
敵陣近し 東孤嶺(とうこれい)

妙義颪(おろし)に 鍛えたる
阪東武士の 血はたぎる
斬れるぞ備前 祐定(すけさだ)は
鬼神飯塚 部隊長

ああ突撃の 一刹那
敵弾受けて 武夫(もののふ)は
爐山(ろざん)嵐の 華と散る
聴けよ声なき 萬歳(ばんざい)を

率いる部下の 前に立ち
銃火に曝(さら)す 素っ裸
軍刀振い 叱咤せし
我が隊長は 今や喪(な)し

生還期せず 山科の
心を持(じ)して 敵を撃つ
首途(かどで)に遺す この一語(いちごん)
武人の覚悟 今ぞ知る

は陽(よう)湖畔に 陽(ひ)は落ちて
骨は爐山に 埋(うず)むとも
豪膽(ごうたん)鳴るぞ 永久(とこしえ)に
軍神飯塚 部隊長
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