旅路

それで これからどうするの
想い出なんか 鞄につめて
駅の広場の ざわめきに
つぶされそうに 女がひとり
突然 雨が降りだして
見なれた街が 色あざやかに
北へ旅立つ女の 人恋しさ
さびしさに 気づく人もいない

それで これからどうするの
こぶしのきいた 唄などうたい
さびれたホームの 片隅で
汽車を見送る 女がひとり
突然 雲の切れまから
さむざむとした薄日がさして
恋をなくした女の かわいた目を
なぐさめて 通りすぎてゆく
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