山のけむり

山(やま)の煙(けむり)のほのぼのと
たゆたう森(もり)よ あの道(みち)よ
幾年(いくとせ)消(き)えて 流(なが)れゆく
想(おも)い出(で)の あゝ 夢(ゆめ)のひとすじ
遠(とお)くしずかに ゆれている

谷(たに)の真清水(ましみず) 汲(く)み合(お)うて
ほゝえみ交(かわ)し 摘(つ)んだ花(はな)
山鳩(やまばと)の声(こえ) 聴(き)ながら
行(ゆ)きずりの あゝ 君(きみ)とともに
下(お)りた峠(とうげ)の はろけさよ

山の煙(けむり)の たそがれに
別(わか)れた人(ひと)の うしろ影(かげ)
あとふりかえり 手(て)を振(ふ)れば
うすれゆく あゝ 淡(あわ)い夕日が
染(そ)めた茜(あかね)の なつかしく
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