幻の港

霧の夜は港も暗い
ひとり待つわたしの心にも
しのび入る波止場の夜霧
波の間にゆらめくランタンは
あの夜(よる)の夢の名残りか
そゞろ吹く風にはかなく消え
残るは幻むせび泣く小浪(さざなみ)
あゝ 霧の夜はせつなや
なげきの幻
君よ 今宵はいづこに夢を結ぶ
×