まちは裸ですわりこんでいる

街ははだかですわり込んでいる
夢を見ようにもあてがない
最後の幸せをポケットに
君は旅立とうとしている

悲しい夜にはなぜか
誰もがきれいに見えるもの
やぶれ舟が僕のすき間に
入り込んで
Hold onてささやいている
とてもはれた日の午後
僕は一人喫茶店の二階
君がおき忘れていったやさしさを
テーブルの上でならべかえてみる
夕暮の町は高校生でいっぱい
でも君の若さにはもう出口はないよ
だから夜はこんなに殺気立っている
今度は台風さえもさけて通るらしい
あめ玉をくわえた老人が一人
縁側で今日も日なたぼっこ
夕暮のまんいんバスの中に
もう見あきた悲しげな顔ひとつふたつ

お日様ももう
先が長くないみたい
肩はこんなにも
あかさびだらけ
僕もそろそろ
腰をあげようか
ビスケットの匂いのする
フランスまで
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