月冴えて

かんざし気取って 刈萱(かるかや)を
さして振り向く 川原(かわ)の端(はた)
小石を拾って 投げるたび
世間捨ててく 音がする
ねぇ…あなた この身体(からだ)
燃えて焦がれて 溶けるまで
ずっと抱いてて くれますか
そのため誰か 泣かせても
あぁ 煌々と月冴えて
都忘れの 秋が去(ゆ)く

すがった小袖に ホロホロと
落ちてこぼれる 露しぐれ
この世で添えない 恋ならば
夜に隠れて 逃げましょう
ねぇ…あなた 女って
嘘も情けも 裏切りも
ずっと覚えて いるのです
どんなに遠く 離れても
あぁ ざわざわと野分(かぜ)渡り
二百十日の 秋が去く

ねぇ…あなた この命
何度生まれて 来ようとも
きっと見つけて くれますか
姿がたとえ 変わろうと
あぁ 煌々と月が冴えて
都忘れの 秋が去く
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