石段のワルツ

タン タン タン 旅立ちの朝
君と二人石段の上で いつものようにワルツを踊った
カン カン カン 旅立ちを告げるベルが
鳴り響く君といた黄金色の街をはなれ

変わらない景色に色をつけたくて
荷物も持たぬまま 灰色の街に行く

列車の窓の外 揺れている雲と緑を
背中で受け止めて別れを告げるのさ
隙間を吹き抜ける風の音に耳すまし
口ずさむのはそういつものあの歌さ

タン タン タン 革靴は知らぬうちに
あのリズムを奏でては列車中に空しく響く

茜色の空と手を振る君の姿を
振り返ることなく列車は走り出す
頬を濡らしながら口ずさむのはあの歌
心はいつまでもいつもの石段の上
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