9月はほうき星が流れる時

ななめ文様に落ちてくる
粉雪だれの涙なの
あれは飛べない鳥達の
一月はまだ 終りない冬

こだちの色が哀しそう
部屋のまどから見る街は
夜がいつもいるみたい
二月の今日は お茶を飲むだけ

絵具でつくった花束を
さわやかな瞳で歌うたう
かわいい人にあげましょう
三月はもう 悲しくはない

ちいさな恋もこの部屋に
なくてはならなくなりました
時計も今日はなりません
四月は花を 僕らは愛を

霧がたわわなちいさな森を
妖精みたいにとんでった
草のにおいがやさしくて
五月は君を うわさした

雨はぼくらを包んでた
ぼくらはいつでも立っていた
だあれもいない公園に
六月はじっと たえるとき

ガラスの家が欲しいとか
ポピーの花が好きだとか
遠い明日を話してた
七月はもう 終ってた

さむい冬が来るまでに
セーターあんであげようと
約束をしてほほえんだ
八月はいま 手をとって

夏の終りは淋しくて
海を見たくなりました
ほうき星にのったまま
九月に彼女は 逝きました

貝がらひいたお墓に今日
影をのこしてかえってく
涙の柱がこわれてく
十月は また淋しさが

片ソデだけのセーターが
緑いろした椅子の上
なにもいわずに嘆いてた
十一月 冬が戸をたたく

ノエルの夜には約束の
銀の指輪を買いました
君がそこにいるように
十二月 外は吹雪いてる

ななめ文様に落ちてくる
粉雪だれの涙なの
あれは飛べない鳥達の
一月は 又終りない冬
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