越冬の酒

海鳴り 漁火 浜酒場
別れのつらさ 身をせめる
空けた徳利(とくり)を 確かめながら
注げば涙の ああひとしずく
沁みる心に 越冬の酒

会いたさ 愛しさ 捨てきれず
酔うたびいまも また浮かぶ
ばかだばかだよ ほんとに俺は
お前ひとりを 残して故郷(くに)に
つのる愛しさ 越冬の酒

くちびる 黒髪 薄い肩
面影胸に 抱いたまま
帰りたいのに 帰れぬ意地が
酔えばひと哭き 汽笛が咽(むせ)ぶ
春へ乗り継ぐ 越冬の酒
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