絵描きの部屋

表通りの角の酒屋に
ブチの大きな犬がいる
俺の酒を買いにゆくお前は
いつもそれにおびえてた
夕日がななめに差し込む部屋で
ボンヤリ俺は昔を思う
窓を開けても半分だけしか
世間のみえないこんな暮しに
おさらばしようか

書いても売れぬキャンバスばかり
絵具の臭いがたち込めて
古い毛糸をほぐしてるお前の
名前をポツリ呼んでみる
夕日がななめに差し込む部屋の
陽やけたたみがそこだけ赤い
こうして二年かあと三年か
もうすぐ暮れゆく町の片すみ
二人は影ぼうし
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