旅の午後

今年もこの町へあなたをつれ僕は来た
駅前の古ぼけた宿の手すりにあなたは凭れ
そしてあなたのやわらかな耳朶に
午後の陽ざしが透き徹ってとてもきれいにみえる
一年前よりもあなたは大人になった

行きかう人達の挨拶ふと耳にする
小さなこの町も人の心にやさしさがある
そしてあなたがその長い黒髪を
指でとかして恥らう仕草はいつもとちがう
いつまでもこの時を心にとめていてくれ

そして幾たびか季節がくり返し
今度この町おとずれた時に変わっていても
そのときもあなただけ変わらず愛していたい
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