晦日

故郷へ向かうあなたを見送ったあとの都会(まち)は、
道路もベンチもだんまりで、この世にひとりみたい。
破れた恋を振り返る。
見果てぬ夢を書き綴る。
この手帳 あといくつ分ここにいられるだろう。

故郷には帰れない。身も心も変えてしまった。
上手くいかないことがあるたび、変わろうと、変わろうと、
変わろうとして来た。

…来年も、生きていたいな。

特別なことは要らない。無闇に良いことも起きないで。
目を逸らしたくなるような、しあわせは要らない。

古い手帳を燃やしても、古い傷跡消えてくれない。
生きて行こうと決めた街角、すれ違う心たち、みんな傷だらけだ。

…来年も 生きていたいな。
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