お入り

雨の夜更けに 肩ふるわせて
父さんごめんと 泣きながら
小窓を叩いて いる娘
何年振りやと 云いたいけれど
そんな娘を 叱りも出来ず
帰って来たかと 親ごころ

風邪引かんうちに 中へお入り…

少しやつれた 娘の顔を
見つめているのが つらいから
今夜はだまって 寝るがいい
気まずいままでは 話も出来ぬ
明日は娘も こころを開き
素直に話して くれるだろ

サァ お入り…

お前ひとりで 生きてるならば
父さんなんにも 云わないが
そうやないだろ なァ娘
ぬくもりあるだろ この家だって
涙拭いたら 笑顔になって
今よりきれいに なるんだよ

いつまでも泣いとらんと サァ早よお入り…
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