五分前

あと五分で バスが来るわ
笑いましょ 素敵に
ちゃんと立って 顔を見せて
それなら街でも もてる
嘘みたいね 五年前の
少年の あなたが
私もしも 若い時なら
ついて行く どこまでも

春めく葡萄の下で
くちづけして 笑ってた
なにもかもが 華やいでた
時間を 時間を 止めて
あなたのためなら 私
どんなことだってできた
いやな歌も 歌えたのは
あなただけを 見ていたから いつでも

腕時計を 見つめている
横顔が 素敵よ
きっと街で 若い子たち
あなたに 夢中になるわ
口にすると ふるえそうで
さよならが 言えない
私 もしも 次に生まれて
出逢えたら はなさない

そよ吹く葡萄の下で
名前呼んで 抱き合った
せつないほど 愛していた
時間を 時間を 止めて
あなたと私の夢が
もうすぐ扉を閉じる
バスが出たら 何も言わず
あなたのこと 想いながら 歩くわ
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