去年の夏

海辺で過ごした
特別の週末
夏の陽と ときめきと
あなたがくれた
不思議な
ガラス瓶の色

ぼんやり見つめた
テラスの白い屋根
囁きと 波の音
笑いころげた
あなたの
お気に入りの冗句

眩しい二人の季節の終り
世界でいちばん悲しい

やさしい夏の終りのしるし
世界でひとり寂しい

海辺で遊んだ
無邪気な鬼ごっこ
ざわめきも せつなさも
すべて忘れて
走った
夕だちのなかを

すべてを忘れて
裸で走った
すべてを忘れて
すべてを忘れて
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