泣いていたから

今までの声は、君の嘘だと知っていた。
嫌われぬように。消されないように。

今までの声は、君の助けだと知っていた。
離れないように。信じられるように。

それでも君はまるで幸せみたいに、手を振って背を向けた。

最期に目に映った君の横顔が歪んで見えたのは、

胸に秘めた想いなど知らない。僕は君の何だっていうの。
たった独り残された世界で、要らないのは僕だけなの。
会いたいよ。

手紙を書こうか。僕の忘れたくないこと。
恥ずかしい過去を、誇れない今日を。

文字になった僕のずっと嫌っている人生は、
望まれているかな。愛されているかな。

答えをくれる人すらここには居なくて、自分を見るのは辛いから、
眼を閉じてみるんだよ。その世界に君がいたなら。

重ねてきた想いを知らせたい。僕に意味を与えるために。
きっと叶わない願いだと解っている。どんなに強く叫んでも聞こえない。

理由づけ 得意分野 人の狡いとこだけ盗んだ
不公平な出来レース 表彰 他人を蹴落として笑った
なんて素敵な世界だ 負けっぱなしも厭わないさ
戻れない 変わらない

胸に秘めた想いなど知らない。君が僕を要らないと言っても。
そうだ、嘘つきで助けを呼んだのは、弱いままの僕の方だよ。
会いたいよ、今だけ。
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