銀木犀

銀木犀がひそやかに
咲きほこっていたよ

早足に駅に向かう道のりで
どこからともなく かぐわしい香り
ふとあの歌を 口ずさんだけれど

そこに咲いていたのは
金色(こんじき)ではなく 白い 白い

銀木犀がひそやかに
咲きほこっていたよ
慎ましく 力強く
命の限りを
燃やしていた

豊かな暮らしに 満たされていても
それでも幸せ 求め続ける
心がもっと 豊かになるように

努力が報われると
少しは自分に ついた 自身

銀木犀という花が
あるということさえ
気付かずにいた私は
忘れていたもの
取り戻した

銀木犀という花が
あるということさえ
気付かずにいた私は
忘れていたもの
取り戻した

取り戻した
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