いつも心にハンドブックを

降りしきる雨の中を買ったばかりの長靴で
いつもの小さな駅まで君を迎えに行く

電車の音がする前に今日という日を名付けよう
すぐに忘れたっていい 鳥や木の名前でも

ジャガイモ畑の隅で 河が生まれ
山が崩れる 虫たちの街

いつも心にハンドブックを携えていれば
一足ごと光が射すよ
子供の声が駅を飛び越え散らばるとき
その数だけ傘が開くよ

大きな目を光らせて自在にドアを操って
瞬く間に泳ぎだす魚のようなタクシー

雨宿りする鳥たちの息づかいが聞こえてくる
あまりにも急ぐ命を知らず追いかけていく

沈黙と闇の中で 宇宙が生まれ
星がぶつかり 今日も雨が降る

いつも心のハンドブックの紐を解くたび
犬や猫の鼓動が聞こえる
最後に君を見つけて本を閉じれば
音を立てて傘が開くよ

いつも心にハンドブックを携えていれば
振り向くたび懐かしくなる
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