アリガト

月のあかりで 影踏みする
はだしの足 くすぐる
砂をけり そぞろ歩き

とはずがたりの 波の調べ
ふいにはじける 花火
夏の宵は いとをかし
アリガト

またばたきした そのあいだに
星が 闇夜を流れる
海の底 光の粒 いっぱい

アリガト
砂に書いてみた すぐに消えた
アリガト
擦りむいたこころ
海風 すこし しみるけど

月の渚で 寝返りうつ
こうしてると 世の中
悪いことばかりじゃないよね
アリガト

いつのまにか 朝ぼらけで
星は 青い空のむこう
見えないけれど 隠れているよ

アリガト
夢はさめたけど 大丈夫さ
アリガト
のぼせた素肌に
潮風 すこし しみるけど

足あと
そっと消していく しろい波は
昨夜も
ここに来てくれた
見えないけれど わかるんだよ

アリガト
火照った想ひは 沖に流そう
アリガト
いつかまた来るよ
誰もいない海 アリガト
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