夏の夢

あぜ道を遠くうつす陽炎が揺れている
沈黙を破るように夏草が踊る

思い出せば出すほどに胸の奥を焦がすよ
湿った風に連れられてあなたの夢を見た

笹舟に乗せた明日を幼さが揺らしていた
泡沫の季節に咲くあなたの面影

思い出せば出すほどに胸の奥を照らすよ
帰らぬ日は陽射しに溶けて夏の空を彷徨う

思い出せば出すほどに胸の奥を染めるよ
帰らぬ日はよせては返し波のように漂う

帰らぬ日は煌めくように夏の夜を彩る
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