すず虫

すず虫が夕暮れを連れてきたから
待ち合わせの駅まで急いだ

溶けていく太鼓が距離を狂わせる
頼りない浴衣の私たち

男の子たちは跳ねるように駆けてく
からかって追いかけて逃げたい

かたぬきに杏飴に射的の的
小銭にぎる手のひら滲んだ

とりどりの灯がぼやけて続いて
本当はあなたしか見えません

恋を連れてきた夏を恨まないように
偶然近づく背中に
風が踊る
胸が揺れる
すず虫が鳴く

夏祭り
いつか終わる花火の中
あなたの指ばかり見つめてる
見つめていた
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