指先

四月の風が頬を撫でて
答えのない春が始まる
始まる
去年はまだ夢の中で
来年は宇宙の彼方

花びらハラハラとちぎれ落ちて
雪の上 赤くサヨナラ
春風ヒラヒラと桜の花が舞ってる
そしてただいま

指先をこぼれていく
時の中で思い出が泣いてる
狂おしく散った夢の一握りが
今胸を揺さぶる

雪解けにはシャボン玉の匂いがする
祖母を思い出す
帰る場所は誰にでもあるんだろうか
海の深く

今すぐ会いたいよ
ここがどこか分からなくて名前を呼んだ
東京の空には形のない雲の群れ
誰のもとへと

辿り着けんだろうか 光のある場所へ
たとえ泡に消えてしまっても
些細でも夢を 忘れられた愛を
もう一度この胸に抱き寄せて

指先をこぼれていく
時の中で思い出が咲いてる
答えなどないとしても求めてしまう
誰のせいでもなく
指と指の間からこぼれ落ちた
太陽が燃えてる
胸の中の焦げたダイヤ 欠けた月
輝け 輝けよ
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