愛するお前に

まだお前が小さくて野原を駆けまわって
ズボンの膝を破いていつも叱られてた頃
すべてのものは喜びに輝き溢れていたのに
そんな遠い昔は唯の夢と言うのかい

素敵な処女の前を素知らぬ顔で通り過ぎ
ほこりだらけの帽子を固く握りしめてた
若き学生服の詩人は今では暗い部屋にうずくまり
ただ泣き事ばかり並べるだけの毎日さ

人には明日を想えば心ときめく頃がある
それが僕等の夢と呼んでいたものなのだろう
だけどそれを失くした今はお前のその体を
屈めて奪うことだけが残されたひとつの道さ
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