瀬戸の通い船

こんな静かな 渚の日ばかり
つゞくものなら あゝ うれしかろに
恋……
島と島と 小舟で結ぶ
恋はわびしい 瀬戸の海

桃の花咲く 小島の春に
旅へでたきり あゝ 戻らぬひとよ
月……
こよい私の 涙でくもる
月の寝顔の かなしさよ

どこを照らして むなしく燃える
沖の早瀬に あゝ 灯りがひとつ
星……
離れ離れの さだめに泣いて
星が流れる 瀬戸の海
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