あなたの港

汽車を下りたら そこは港町
引き潮さんばしの ゆれてる水に
別れた顔が ふと浮かぶ
あの彼(ひと)の嘘で こわれたみじめな夢を
抱いて泣き泣き ああひとり旅

船に乗りつぎゃ いつかもう日暮れ
つれないひとなみに 背中押されて
幸せな日々 想い出す
あの彼(ひと)といつか 東京で覚えた歌が
波のあい間に ああ消えてゆく

駅に着いたら ここは安ホテル
ふるびた裏窓を そっとふるわせ
霧笛の音が 遠ざかる
あの彼(ひと)がいまも 私を呼んでるみたい
岬はずれに ああ灯がひとつ
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