千客万来

物語 最後の方 万里を目指す馬乗りと
草原を走る独りの少女が栞を突き破って
駆け落ちをした

客足ぱったり中華料理屋 灰皿の中に絶望を見て
油にまみれた表紙を閉じる
卓球選手がありふれた会話のラリー

出稼ぎチャイナガール 三年前の今日だった
出前に行ったきり今だ帰らず
目的失った招き猫 猛暑の中 千客万来!

夕暮れ 換気扇の下で吸う
タバコ ジリジリと音を立てて
時間が過ぎてゆく

出稼ぎチャイナガール 三年前の今日だった
出前に行ったきり今だ帰らず
喉を潰した閑古鳥 ふらふらと穀潰し

出稼ぎチャイナガール あの日も泣いていた
大正堂の本屋に寄り道をして
絶え間なく過ぎるこの街で君一人 千客万来!

出稼ぎチャイナガール 三年前の今日だった
出前に行ったきり今だ帰らず
目的失った招き猫 猛暑の中 千客万来!
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