ふたりよがり

あなたを、助けようと右手を差し出せば
あなたは、俯いたまま地面を濡らしてた

あなたを、失おうと右手を降ろしたら
あなたは、左手でわたしを引き留めた

あなたが手に入れたいものは
わたしじゃあげられない
お互い気付いている
だけど手放せないのは、なぜ?

ありふれた言葉も
あなたでしか意味のないこと

ありふれた約束も
ふたりでしか交わせないこと

溢れ出た涙は
あなたでしか拭えないこと

ふたりよがり、空には月

都会は、たくさんの“ふたり”が溢れてる
それぞれにこの街は違う風に映ってる

最終バスに揺られあなたの街に向かってる
だんだん人が降りてひとりになって夢うつつ

雨が降ればふたり屋根を探して
晴れたら虹を見つけて笑って

ありふれたことでも
あなたでしか意味のないこと

ありふれた孤独も
あなたでしか救えないこと

ありふれた日常も
ふたりならば特別になって

溢れ出た涙は
あなたでしか流せないこと

ふたりよがり、空には月
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