潮騒

憎さどころか いとしさばかり
遠い潮騒(しおさい) さわぐ胸
紅をなくした 唇を
赤いお酒が したたり落ちて
咲いてみだれた 夜(よ)が恋(こい)し 夜が恋し

帯も身巾(みはば)も 思いの丈(たけ)も
やせていくほど 逢いたくて
情けかわした 春がゆく
思いささげて 悔いないけれど
心がわりの 哀しさよ 哀しさよ

忘れられても 忘れはしない
あとを引くよな 夢ばかり
月の岬の 灯台よ
恋の闇路(やみじ)を 照らしておくれ
こんな女の 行(ゆ)く末(すえ)を 行く末を
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