酒ものがたり

潮の匂いが しみついた
隙間風が 背中にしみる
古い港の 裏町酒場
客は俺しか いないけど
にぼし肴に 手酌酒
旅する男にゃ 似合いの酒だよ

好きな女も いたけれど
いつの間にか 別れたきりさ
小雪ちらつく 海辺の酒場
酔ったお酒の せいなのか
そんなあいつが 気になるよ
淋しさ飲みほす ほろ苦(にが)酒だよ

酒よお前を 道づれに
根無し草の 男がひとり
北のはずれの 港の酒場
遠い霧笛を 聴きながら
人の情けに ほのぼのと
心が温(ぬく)まる 熱燗酒だよ
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