我は海の子

我は海の子 白浪の
さわぐいそべの 松原に
煙たなびく とまやこそ
わがなつかしき 住家(すみか)なれ

生れて潮(しお)に 浴(ゆあみ)して
浪を子守の 歌と聞き
千里寄せくる 海の気を
吸いてわらべと なりにけり

高く鼻つく いその香(か)に
不断の花の かおりあり
なぎさの松(まつ)に 吹く風を
いみじき楽(がく)と 我(われ)は聞く

丈余(じょうよ)のろかい 操(あやつ)りて
行手(ゆくて)定めぬ 浪まくら
百尋千尋(ももひろちひろ) 海の底
遊びなれたる 庭広し

遊びなれたる 庭広し
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