夏のペーパーバック

渚に吹く風が涼しすぎるね
プールサイドへと陽が傾向く

波を見てくるわって ビーチに消えた
君を探しに行く気もない

白い寝椅子の上に
薄いpaper back
ページの端を折って
投げ出したままさ

最後のシーンまで想像つくよ
避暑地で逢えた君が
ヒロインなら……

君が夢見るほど素敵じゃないさ
ただの脇役だよ ぼくなんてね

手のひらに氷のかけらをのせて
溶けてゆくのを じっと見てた

ここで出逢った事を
悔やみかけた
風がページを飛ばす
物語の中

最後のシーンまで想像つくよ
真夏のペンが綴る
ロマンスなら……

ありふれた終わり方なら
ぼくなりに書き換えたいね

渚に吹く風が涼しすぎるね
プールサイドは人気もない

波を見てくるわって ビーチに消えた
君を探しに独り
歩き出すよ

夕映えに影をひいて
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