スリープ

住み慣れた家の匂いがした
キッチンの窓に浮かぶ空に
黄昏が降りてせつなくなって
思い出のなかを彷徨う

ただ星の下で眠りたかった
朝の光で目覚めたかった
ちりぢりになって消えた面影
夢で会えたら ジュリアねえ見て
ほら、わたしはまだここにいるのよ

失ったものを嘆くように
錆び付いた銀の指輪から
ふと目をあげると窓の外に
星がひとつだけ寂しく光る

虹色のアーチくぐり抜けたら
生まれたての月をみつけるのよ
いろいろなところで好きに生きても
夢の中なら 自由ね さあ見て
ほら、わたしはまだここにいるのよ

ずっと誰かを待っているような感じ
胸の底の水を静かに揺らして
たっぷりと今にもこぼれ落ちそうな涙

ただ星の下で眠りたかった
朝の光で目覚めたかった
ちりぢりになって消えた面影
夢で会えたら ジュリアねえ見て
ほら、わたしはまだここにいるのよ
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