のっぺらぼう

17時の鐘は聞き流して
かわりに頭に響くのは
もう聞けないな
もう聞けないな
カラカラと笑う君の声

西側の空は暖かい色
差し出してくれたのに握らなかった
君の小さな右手の指先は
キラキラと光る赤い爪

両耳が知らなかったことならね
両目にもわかるはずがないんだなぁ
じゃあ君の気持ちを少しでも
想像できるのはどこだろうか

だらしなく戻した胃の中身
酷い味がして気がついた
僕は嘘ついた口でキスをした
今思うとあれは苦かったでしょう

からっぽのお腹と心の中
カラカラと響く君の声
君の声
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